こだわりの塩蔵法

「塩蔵」は様々な方法があります。

船上漬け

北洋漁場全盛の頃、日本の漁船団は漁獲したサケを船上で選別、洗浄、塩蔵処理し、冷凍熟成させました。単に冷凍され工場へ運ばれてから加工されるロシア産の塩鮭とは処理工程が大きく異なり、こうして水揚げされるベニザケを「本チャン」と呼んでいました。鮮度の良いうちに塩蔵するため、身のしまりや塩のまわりがよく、うまみが凝縮されますが、現在はロシア海域での漁ができないため、ほぼ行われていません。

山漬け

大量の塩で塩蔵処理したサケを、一段ごとにムシロで仕切り、山のように積み上げて時間をかけて熟成させます。山のように積み上げることでサケ全体が重しとなり、水分がしっかり抜けることが大きな特徴です。普通の新巻きより旨味がぎっしりと凝縮されますが、サケをひっくり返し上下を入れ替えて積み直す「手返し」という作業が必要で、たいへん手間がかかります。当店ではさらに、山漬けしたサケを塩抜きしてから寒風干しする干物の手法を加えて出荷しています。

米糠仕込み

40日間、10kg〜30kgの重石でじっくりと水分を抜き、仕上げは50kgの重石で糠漬けにします。糠の発酵臭をまとった魚体は旨味が凝縮し、かすかな甘みも含んだまろやかな塩辛さに仕上がります。

新巻き

サケを一尾の状態のまま内臓を取り除き、塩をまぶして熟成させた後、塩抜きして干したもの。昔はしっかりと塩をすり込み、全体に塩を回していましたが、最近はふり塩に近いものも「新巻き」と呼ばれています。一般的に魚の重さの15〜20%前後の塩をまぶすものを「新巻き」、40%程度の塩をまぶすものを「塩引き」と呼んでいます。

定塩

短い時間で全体に均一に塩がまわりやすいようにサケを半身に卸してから塩漬けしたもの。塩水に漬け込む方法や、細かい針を通して身の中に塩水を直接注入する方法があります。

寒風干し

塩がまわったサケを、何日か寝かせて熟成した後、寒風にさらして干したもの。干すことで全体に塩がまわり、塩が身にしっかりとなじみます。余分な水分がさらに抜けて、サケ本来の旨味が凝縮されます。